カレーは嫌い

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学校から自宅へ戻り、ほっとするはずの玄関先でカレーの匂いがするとひどくがっかりしたものだった。

カレーの匂いは母の不在を意味していた。
保険の営業で毎日忙しくしていた母は、夜に家を空けることも多かったからだ。
薄切りの肉、細かく切った具材のときは、大急ぎで作った日だ。あらかじめ用意することができずスピード仕立て。前もって外出がわかっている日の具はほどほどの大きさだった。ひと口大の肉、どっしりしたジャガイモとにんじん。

長女の私は、置き手紙通りにカレーを温め、ごはんをよそい、父と妹へ配膳する。父にはビールとグラスもつける。床下収納をあけて、らっきょうをとりだす。そこには梅干しもたしか入っていた気がする。少ない時間をやりくりして母が仕込んでいたものだった。

ものすごくお母さんっ子というわけではなかったし、子煩悩でおしゃべり好きな父がいたから、母の不在がすごく寂しいということもなかったけれど、それでもカレーの匂いがするとがっかりしていた。あの「がっかり」感はどこから発生していたのか?

 

あれから幾年月。世の中が概ね「カレーが好き」「カレーが嫌いな人はいない」ということになっていたのに驚いた。いつだかテレビを見ていたら「日本の国民食」って言っていた。私は非国民か!と、一人突っ込んだ。(・・・さみしい)

入学後、1年生の初めての給食も「好き嫌いなくみんな食べられるから」という理由でカレーだと聞いてまた驚いた。子らは学校給食のカレーを「○杯もたべた!」と、うれしそうにしている。

わたしのなかで、カレーのある風景がすっかり変わっている。
自分が食べたいと思わないのであまり作らないでいたら「カレーが食べたい」とリクエストされるようになった。
子ども達の成長とともに作る量も増えて、いまでは1回に10皿分も!作っている。しかし、やっぱりあいかわらず純日本風カレーは好きではないので(タイカレーやインドカレーは大好きなのです!)、トマトの水煮を入れてみたり、夏はオクラやナスをいれてみたり、余裕があるときはインド風のバターチキンカレーと自家製のナンを作ったり楽しんでいる。まあ、おおむねゴールデンカレーをシンプルに作ることが断然多いですが。

 

自分のなかでさみしさと好き嫌いが錯綜したのかとおもっていたけど、単純に好き嫌いなだけだった。(笑)

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これはおいしかった!ちょっと高いけど。
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